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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2006年 12月 03日

JOURNAL

同志社の今出川学舎に、大江健三郎氏の講演を聴きに出かけた。相棒が見つけてきてくれて、楽しみにしていた。千人収容のホールは埋まっており、弁護士会として、この企画は大成功だったのだろう。今様の言い方では、「天然系ユーモア」と受け取る人も多そうなその語り口は、確かに専門家のごとく達者ではないが、原稿そのものは細かくよく練られた作家の仕事そのものだ。「同時代ゲーム」以降、この作家が勝ち得た一番大きな文学的成果はまさに、ヒューマニティとしての笑いの供出であったと思うが、それは語り言葉にもきっちり生かされていて七十を越えてなお先鋭な現役作家の迫力があった。未来に続くものとしての現在、つまり現在は未来を含んでいる、という考え方をすれば、過去の後悔というものもとても意味がある。これは、今日大江氏が引用したヴァレリーの言葉だが、元気の出る言葉を聴いた、と聴衆の多くはその感覚を分け持ったのではなかったか?

by nogioh | 2006-12-03 23:36


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