いつのまにかハーモニカは伸びているが、その成長が新たな悩みを生みもする。そういう現実を生きる人レッスン。色んな話をしながらコットンの、一番難しい、ファンク化前のややこしいソロを聴き取る練習。これはよく聞く種類の話で、今日の人には関係がないのだが、ハーモニカ吹きとして、ぐんぐん発展を遂げられる場所としてのバンドならばバンマスにならなくても価値はあるだろうが、添え物という認識しか持たないメンバーばかりならそのバンドはハーモニカ奏者には辛い場所だ。かつて原稿用紙5,6枚の手紙を書いてバンドを抜けた経験が僕にはある。修行時代で、バンマスになりたかったのではない。バンドの要はリズムで、それ以外の少なくともギターとピアノとハーモニカは等価である。それを判ってもらえないのがたまらなく嫌だった。仲は良かったのでぐちゃぐちゃになりたくないから抜けたのだった。そのときのリーダーからすぐに電話があり「大げさやなあ。電話で良かったのに」とあっさり言われた。考えてみれば果たし状みたいな内容だったが、笑って受け止めたその人は偉かったと思う。もう十七、八年も昔だ。