大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2017年 04月 24日

JOURNAL

島尾敏雄を読み返している。ある歌手の女性と以前文学の話をした時にこの人の名前を出した。懐かしいなあと言っておられた。魚雷艇学生、ロング・ロング・ア・ゴー、出発は遂に訪れず、死の棘、贋学生…。僕が敬愛する小川国夫とも交流の深かった作家で、一時期夢中になって読んだ。島尾の「島の果て」と夫人でもある島尾ミホの「海辺の生と死」などを基にして映画が作られる、というニュースを見て、ああ、と思って本棚から出して、ここしばらく持ち歩いている。岡崎京子と同じパターンだ。何かを表すためには細密な描写と夢のような異化、どちらが欠けても駄目なのだ、とこの作家を読むと改めて感じる。音楽でも同じことで、ブルース・ハーモニカの本質を掴むには延々とコピーを繰り返すしかないし、同時に自身のアイデンティティをそこに注ぎ込んで、それらを異化して観客に見せないといけない。コンプリートなどない世界であり、金を取っても良いレベルかしら、と自他ともに認める程度に習熟してからも、やれないことはいつまでも出てくる。時代も国籍も、肌の色も違うからどうしようもないが、その先に行かないと新しいものなど絶対に作れない。それで嫌になってやめてしまう人が多いのだろう。嫌になってやめる人は、分かっている、のであって、やる人が減るのは残念だが、もっと楽しまないと、などとほざいてだらだら雑音を垂れ流している輩よりはよほど高尚だ。
自分流に、とか新しいものを作る、とか簡単に言うミュージシャンに碌な奴はいないが、まあそんな連中は非常に多い。あほばっかりだなと思います。ああブルースって最高、とか毎日のようにうっとりしながら誰かに向けて喋ったり書いたりするスノッブども。大変な一つ一つの手順を全部省いて進化、と口にするやつも同レベル。そういうミュージシャンの作るものはブルースでもソウルでもない。もどきですらない。音楽ではないのです。何故ならもどきを具現するのすら凄く大変なものだからだ。したがってそういう連中はミュージシャンではないという事になる。ライトノベルがどれだけうまく書かれていても決して文学にはならないのと同じだ。どんな酷評を受けようと、手間暇かけて、楽をせず、せめて文学の土俵には立たないと残って行かない。いや、残るかもしれないな。でも残って行く価値はないと断じたい。音楽も、観客も奏者も同じくらい楽しむ、という状況は、せめてミュージシャン側の礼儀としての粉骨砕身、それ抜きでは実現しないのではないんでしょうかねえ。

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# by nogioh | 2017-04-24 23:58 | Comments(0)
2017年 03月 18日

JOURNAL

リトル・ウォルターの奏法解説の原稿を渡し、載った雑誌が出て半月。それなりの反響はあったようだ。内容についての反発は今のところないが、今後あったとしても、それはそれで一つの反応だ。有り難いと言うか、そうあるべきだと思う。リトル・ウォルターについて、シカゴ・ブルースについての感情を喚起したい。潜在的なリスナーがいればそれを掘り起こしたい。そう思って書いた。原稿にして6枚。全て書ききれる枚数ではない。削るのに苦労したが、ウォルターがどう偉大なのかを技術的な部分に焦点を絞った内容としてはこんなものかと思う。
 「告発のとき」を観た。何度も繰り返し観ている。僕はいつも気に入るとDVDを買って(昔はビデオ)何度も観るのだが、観返した回数としては多い部類に入る。ポール・ハギスの映画では一番好きだ。シビアなテーマで、楽しんで観られる作品ではないし、見るたびに色んなことを考える。結局はそういう映画だけが残れば良いと思う。内容には全く関係ないが、この映画のシャーリーズ・セロンは本当に美しい。「サイダーハウス・ルール」も「あの日、欲望の大地で」も良かったが、このシングルマザーの刑事役の彼女が一番良い。
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# by nogioh | 2017-03-18 23:26 | Comments(0)
2017年 03月 15日

JOURNAL

 岡崎京子の漫画「リバーズ・エッジ」が実写映画化される。岡崎はつげ義春と並んで、大人になってから大きな衝撃を受けた漫画家だ。一番好きなのは「チワワちゃん」という短編だが、リバーズ・エッジも実に強烈で、読んだ日の晩は眠れなかったほどだった。読んだのは20数年前だ。当時、それまで体験した事のない規模の精神の危機的状況にあった僕は、そのどん底から何とか這い上がる為に、哲学書を読み漁っていた。60年代以降の新し目の哲学、デリダとか、ドゥルーズとかクリスティバにも惹きつけられていた。チワワちゃんにも、リバーズ・エッジにも、そういうフランスの哲学者たちの難解な本と同じことが書いてあると読んですぐに感じた。大江健三郎、筒井康隆、二人よりひと世代下の高橋源一郎や村上春樹ら小説家もそういう思想潮流に敏感に反応した作品をいくつも書いていたが、読んだ鮮烈さでは岡崎京子の方が上だった。天才だと思った。今の若い人が、映画を観て、さらに原作を読んでどんな感想を持つのか聞いてみたい。
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# by nogioh | 2017-03-15 23:42 | Comments(0)