夜、出張してレッスン。その生徒氏も人に者を教えておられる方なので、いつも自分の教え方、というものを色々考えさせられる。僕にとってはそういう思考をする時間は貴重なものだ。
夜、書き仕事を一つ仕上げる。ライナーだが、良いアルバムだったので書きたいことが沢山あって思考が散漫になり、思いがけず苦労した。
レッスンに行く電車で、マラルメの詩集をめくっていて、「陽春」という作品を見つける。昔読んだはずなのにすっかり忘れていた。少々書き方はややこしいが、なかなか今の僕の気分を表していて「そうそう」と言いたくなる。
病的な春が 悲しくも、澄み渡る芸術の/季節の冬を、明晰な冬を 追い退け/陰鬱な血が支配する わが存在の中では/無力が 長々と欠伸をしながら 伸びをする
(岩波文庫 鈴木信太郎 訳 抜粋)
春が嫌な人はみんなこうだろうという気分を、19世紀フランスの象徴派天才詩人が書くとこんな風になる。芸術が澄み渡る訳でも明晰でもないが、僕はやはり冬のほうが頭がしゃきっとするし、朝も夜も元気に起きていられる。