再び充実していない気分に戻って、鬱々と暮らす。それなりにやることだけはあり、体調もすぐれず、予約していた時間に間に合いそうもなくなってマッサージもキャンセル。修理が終わったクロマチックハーモニカを受け取りに行って、人混みを彷徨ったら少し気分はましになった。しかし修理代、痛いぞ!その後、すぐ近くにある喫茶店「白い花」に顔を出す。4月にライブをするのでご挨拶。清潔でシンプル、少し懐かしい空間で、ライブはとてもやりやすそうで楽しみだ。よろしくお願いします。コーヒーを呑んで去る。「今日のケーキは何ですか」隣のテーブルの女子大生グループがスミさん(ライブの企画者、お店のママさんです)に訊いていた。ごく普通の客とお店のやりとりだが、やたら懐かしい景色のように耳に響いた。今様の、どちらかと言えば大人しそうな娘たちだ。どういう作用か判らないが、声のトーンとか空調の加減とか、色んな要素が合わさって、若い頃に戻ったような気にさせられたのだと思う。ケントとハイライトマイルドを交互に吸っていた二十歳の日々。バブル真っ只中なのに僕らは全然金がなかった。バイト代をはたいて何倍もコーヒーをおかわりした。喫茶店に通うという行為が、今よりもっと重たく、抽象的な意味を持っていた。