レッスン。ブルースとは離れたジャンルの曲に挑戦。美しい曲を、音色もコントロールしつつ正確に吹くことは難しい。でも努力して正解に近づけば楽しいし爽快である。それはブルースの曲のコピーでも同じだ。僕はブルースプレイヤーだから、あくまで異ジャンルをやっている意識は消えず内的葛藤も多少あるが、でも楽しい作業と言える。
ブルースをやる上で正解はないが正義はある。
一度も面識はないが、音を聴いたことはある一人の日本人ハーピストを思い浮かべながら、そんなことを考えていたある昼下がり。原動機付自転車に二人乗りする若いポリ公を見た。交通量の多い国道で、臆する様子もなく信号待ちしていた。こちらが憤怒より先に呆気にとられている内に、彼らは行ってしまった。ナンバーも見損ねたが、もし僕が注意していたら、あいつらは躊躇なくピストルを抜いたのではないかと本気で想像した。やってる行為は重犯罪でなくても、その二人組の笑顔であるとか、他者の目を全く意識していない挙措全体は、尋常ならざる逸脱を感じさせて寒気がした。