正午丁度に各局の番組は一斉に途切れ、無機的なメッセージが延々と繰り返される青い画面に切り替わった。それから数時間後、若者二人が僕の家にテレビを運んで来た。「今日何軒目?」と訊くと「10…4、5ですね。午前中はえぐかったっす」と笑った。とんだ出費で頭が痛い。この強圧的な施策を機にテレビは今後持たないと決めた人もいる。もっとずっと先、うんと安くなってから、という人もいる。僕はそうしなかった。基本的にテレビっ子ではないが、やはりそれなりの必要に迫られての決断だ。とはいえ怨嗟と言っても良いような感情は少しは残る。まあ、今回は個人的にさほど被害を蒙ったとも思わないのでアレだが、一応書いておこう。どんな事情であろうと、例えば国の未来を揺るがすような危機に関することであろうと、こういう怨嗟などという感情を、国民に一方的に選択の余地も与えず強いる権利は国家にはない。今回の地デジファッショで僕のその考えは一層強くなった。ともあれ届いてしまったので何となくテレビを見て過ごした。画面がどうとかはあまり判らないが、チャンネルの反応は遅くてイライラする。録画は何だか簡単そうだ。
夜は風呂に行き、ちょっとモダンにフェントン・ロビンソンとかBBとかマイティ・ジョー・ヤングを聴いて日曜は終わった。