ジョン・プライマー「Tribute For Elmore Jams」を大きな音で聴きながら車に乗っているとこの世は捨てたものではない、という気になる。短い時間ではあっても音楽の力というものだ。スティーブ・ベルのハーモニカを聴いていたら、より丸く太くワームな音とシャッフル感を持つアイパー大西のプレイを思い出し、彼がよくやるジュニア・ウェルズが聴きたくなった。エイシズとのライブが後部座席にあったので聴く。
平素あまりテレビに熱心な方ではないが、時々は見る。明らかに質が落ちていて、特に箍が外れたみたいに日本語が崩壊しつつある。アナウンサーですらまともな日本語が喋れない。いつからか、出演者の言葉を字幕スーパーでなぞる手法は定着したがその漢字も間違いだらけだ。テレビをたまにちゃんと観ると、こんなに卑近なレベルにまで日本の危機的な軋みが顕在化しているのが判る。
"お上はバイトを雇いつつ/悪者を探り続けるなりけれ/N・H・K”という昔の歌を思い出した。高校生の頃よく聴いていた。洗練は形骸化し、やがてその脱け殻すら瓦解し、今テレビは終わろうとしている。NHKは先日、山本潤子を取り上げた番組をやっていた。民放ではこういう本格派の人の特集などもう観られない気がするから、あの企画は良かった。