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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2012年 02月 18日

JOURNAL

近畿全体に大雪が降ったそうで、楽しみにしていた予定が狂った。とても部屋にいる気分ではなくなってしまったので出かけることにする。僕も近畿にいるが、ほとんど雪は降らない。部屋を出た時にはなるほど、さらさらと少し舞っていたが駅に着くまでにやんだ。特急に乗って(たぶん)繁華な地方都市に向かう。着いてからさらに地下鉄に乗り換えて、賑やかそうな駅で降り、あとはひたすら歩き回った。寒すぎず、早足になっても汗もかかない、まことに歩くには適した気候だった。

百貨店を覗いたり路地に入ったり、足が痛くなるまで歩いた。日が急速に傾き始めると牛丼を食って、僕は帰りの地下鉄に乗るために手近の階段を降りた。地下のコンコースは人いきれで歩きにくいほどだった。意味不明の行列や座り込む若者達、土曜日だが仕事着の男女の姿も大勢あった。雑踏は大都市の匂いがした。化粧、香水、体臭、色んな食べ物、人の生活に纏わる様々な事象が放つ匂いがつき混じっている。それは都市が呼吸する独特の匂いだ。かぐわしい匂いでは到底なくて、むしろ寂寥感に打ちのめされるような種類のものだが、一方で僕は圧倒的な安堵も感じている。15,6年前にそれに気付き、以来僕は時々(主に真冬)何の用もないのに人だらけの賑やかな町に出かけて電車を乗り継ぎ、ひたすら歩き回るようになった。一時の錯覚だとしても、その表裏を成す寂寥と安堵が、僕の精神の欠落した部分、じくじくと爛れた穴ぼこを根源的に蘇生させるような気がするからだ。今日も効果はあり(本当は判らない)、ずっと何週間もぴくぴくと痙攣しっぱなしで鬱陶しかった左瞼がぴたりと静かになった。

再び特急に乗って家に戻り、無料券をもらった風呂屋に行く。露天風呂に浸かる直前、寒さに身の危険を感じた。昼間は平気だったが夜の冷え込みはなかなか手強い。
車中、リトル・ハッチのライブ盤を聴く。ロックっぽいサウンドにも違和感なく溶け込みつつ、ダウンホームなハーモニカスタイルは崩さない格好良さ。でも感覚はとても柔軟なハーピストだと思う。この人のスロートビブラートは綺麗です。

by nogioh | 2012-02-18 23:26


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