朝、激しく降り、その後も絞り滓みたいな雨がしつこく残る日だった。今日は遠方から旅の途中に立ち寄って下さった方のレッスンをした。この人の住む街で二回ほど会っていて、一度はライブを観に来てもらった。ハーモニカの旅、であったそうだからレッスンも目的の一つだったのだろう。期待に添いたいところであります。レギュラーの方と違いしょっちゅうは会えないから、最初にどうしても伝えておきたいことは何とか押さえておきたいと話し始めたらプロレスの話題になり(決して無関係ではないのですが)なかなかハーモニカに行き着かなかったり、鳴りの悪いリードの調整を頼まれたものの、我ながらびっくりするくらいもたついたりと色々あったが、言葉に鋭敏な人で僕としてはとてもやりやすかった。初心者に近いキャリアだが、こちらが話す事柄がすっと水みたいに吸収されてゆくような印象を受けた。基礎的な重要事項はなるべく沢山盛り込めるよう努めました。レッスン後その人と連れ立ってシカゴロックに向かった。串カツで軽く(僕もその人もゲコに近いのに)軽くビールも飲んで、もう1人、生徒氏と合流して店に着くと、ハーモニカが聴こえていた。ベテラン小西さん、続いておかさん。僕は楽器を始めて今までセッションというものとは極めて縁遠く過ごして来たが、タカギマン氏のセッションにはたまに顔を出している。お世話になっているから、というのもあるが、何となく挨拶したくなる気分になるのです。遠方の方は、最初拒んでおられたが結局歌まで歌った。旅なので何でもやっておくべきだと思うし、やって良かったと思います。ひと回しソロを吹いてその人がほっとしているところにタカギマンが「ブロウ!ブロウ!ブロウ!」と叫んでふた回しになったり。客席は大ウケでありました。僕も数曲、やりました。こういうテンポのこういう場面では俺って大体こう吹いてしまうのね、という癖が判って勉強不足を感じた。飲まないと、羽目を外せないからそういう自戒の良い機会になったりします。レベルの高いセッションなのでみなさんうまい。水野くんとも久しぶりに絡んだが、こっちの音をよく聴いてるなあ、と感じ入りました。僕はあの店の演奏エリアに入ると自分の音すらよく聴こえないのに。
ホストのタカギマン氏はメンバー表を見ながら「大野木さんと一緒で僕も老眼で…」と僕を巻き添えにするトークをしていたが、老眼は最近の僕のキーワードです。まだ遠近両用眼鏡が必要な段階には至っていないが、若い頃よりは確かに本を持つ手が顔から離れて来ている。本当に嫌な感じです。