昨日に続き出かけてのレッスン。今日は車上です。バンドを組んで、メンバーみんなノっていて、ちょっと先だがちゃんとした箱で人前で演奏する事も決まった人。暇がいっぱいある若者以外はバンドが揃って同じ方向を見るのがとてもとても難しい。そういうメンバーが集まるというのは人徳の一種なんでしょう。貴重なことだと思います。今までやって来た曲の精度を高め、やりたい曲で原曲にハーモニカがないものは一緒に考えて仕上げてゆく。楽しい作業だ。
小川国夫「俺たちが十九の時」を読んでいる。もう新作は読めないのだから、ページを繰るのを惜しみながらちょっとずつ読み継いでいる。いわゆる習作時代の作ばかりだが、完成間近の濃密な世界が味わえる。まさに唯一無二の文学世界。僕がこの人を知ったのは遅く30を過ぎてからだ。前にも書いた気がするが、つげ義春の漫画に名前が出てきて何となく気になっていて、それからすぐ新聞連載でその名を見つけて読み出したら止まらなくなった。一時は色んな人にこの作家の話をしたからベストセラーを書くような人でもないのに、僕の周りには名前を覚えた人も多く、つられて読む人も何人かいた。その頃年少の女性の友人(同級生の妹)が「お兄ちゃんがこの間(実家に)一杯本を置きに来て、その中にめちゃくちゃ昔の小川国夫があったよ」と電話をくれた。「結構良かったわ」と言う。それは僕が持っていない「流域」という本で、最初に小川が注目されるきっかけとなった「闇の力」が入っていた。ずっと読みたいと思っていたので「今から行って良い?君の兄貴には事後承諾になるけど」と言って僕は車でその友人の家に行って借りて貪り読んだ。僕はSF以降は、いわゆるエンタメは殆ど読むことなく、世間でいう「硬い方」の小説ばかり読んでいるが、小川国夫ほどはまった作家はいない。これからも出てくることはないだろう。