レッスン。ハーモニカ歴は長く、ライブ経験も結構あり、タングブロックは気になっていたがやって来なかった方。スラップをかけるタイミングとか苦しげだが、舌を当てて出す単音は結構様になって来た。話も盛り上がる方で楽しいレッスンだった。
レッスンを続けてもらうには楽しさと緊張感をバランス良く味わっていただくしかないと思っているが、ごくまれにどうしてもそれが成立しない人もいる。レッスンに来られてもすぐに消えて行くそういう人は、かなりの確率で、そもそも僕から楽器を学ぼうという気持ちが薄い人達でもある。自分の師匠はXXさんで、XXさんの言う事が一番正しいと思っているが、こいつがどれくらいのものか一度見てみよう。俺の方が知識も技術も、きっと既に上だろうけど。ではなぜお金払ってわざわざ習いに来るのか、と思うが、実際にこういう人がいた。
うまく行く方にも僕以外の方のレッスンも並行して受けておられる人はいて、中には率直に戸惑いを滲ませて「もう一人の先生はこういうやり方が正しいと言いました。大野木さんとは違いますが、どうしたら良いんでしょう」という人もおられる。「コピーは正解が必ずあるわけだから、間違いもあるけど、吹き方に正解はないと思います。選んでください」と僕は大抵言う。一度だけ「それは、もう一人の先生が間違っています」と言ったことがある。その先生と僕はさほどの面識もなく、当然何の恨みもないのだが「ベンドは強く吸って下げる。ブルースハープは強く吸ってこその楽器だ」…これは、申し訳ないが明らかな誤りである。いくら強く吸っても音など曲がらないし、少ない息で「小さいけどよく聞こえる良い音」が出せないと、迫力ある強い音などいつまで経っても出せない。