大型連休が始まったが、僕は働いた。レッスン二人。唇の形を少し工夫するだけで音色も音量も大きく変わるハーモニカの微妙さ。教えつつも日々学ぶ。全て知り尽くした、などとのたまう輩は大嘘つきかとんちんかんだ。そんなプロがいたら決して信用してはいけない。マーク・ハメルの「Blues Harp Meltdown Vol.3」は、キャリー・ベル、レイジー・レスターというシカゴとルイジアナをそれぞれ代表する長老二人を大きくフィーチュアした二枚組ライブ。この二人のダウンホームぶりと比較するとマークの洗練が際立つ。どちらにも好サポートで対応するバンドの力量には叩き上げの凄みを感じる。一人目の生徒氏と河合隼雄の話をした。この人の書物に何度も救われた気がしている。サブカルチャーへの偏愛に対するそこはかとない共鳴とともに香山リカの本も一時期かなり読んだ。「自転車旅行主義」(青土社)は今も時々読み返したくなる、精神科医によるポップな哲学の手引書だ。