人気ブログランキング | 話題のタグを見る

大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

nogioh.exblog.jp
ブログトップ
2014年 08月 16日

JOURNAL

昨日は墓参に行った。暑さはいつもの夏よりちょっとだけましだったが、それでも汗だくになった。懐かしい町を歩き、坂を登り、静かな気分になった。
地元の小さな夏祭り。川べりには夕方から露店が並び、日が暮れると花火がすぐ近くで上がるのでそれを見て過ごす。8月16日は毎年、子供の頃からそうして過ごしてきた。18歳の時、花火も終わって、暗くなった通りを仲間とぶらついていたら、突然何とも言えない暗鬱な気持ちに襲われて、僕は適当な理由を付けて一人で家に帰った。毎年、夏になるとその祭りの日を何となく楽しみにして地元にいるようにしていたが、その日は様子が違った。楽しくなかったのだ。何が違うのだろう…。考えてみたが結局よく分からなかった。1年か2年経って、僕は聞いたレコードの感想や読んだ本や観た映画の印象など雑多に書き殴っていた大学ノートに「僕が好きだった夏はあの日に終わってしまった」みたいなことを書いている。それでも何故終わってしまったのかはよく分かっていなかったと思う。今はちょっと判る気がする。感受性が鋭敏な年頃は、毎日が台風みたいで、意味など噛み締める間もなく過ぎてゆく。今は当然そうではないから判るのだろう。ともかく、翌年から僕は急に夏が嫌いになり、ふっつりと露店を冷やかすこともなくなり、花火も見なくなった。他の事でうんと忙しくなった、という事情もあるが、その日を地元で過ごす事を避けるようにすらなったのだった。地元を離れたり、地元にいてもほとんど家には帰らないような、それなりに荒れた年を重ね、その内、変な拘泥は霧散して、また花火だけは何となく家の前で時々見るようになった。
いつからだったか、露店も花火も地元からなくなってしまった。理由については治安・風紀の問題、花火の打ち上げ場所の問題、など色々な噂は聞いたが、本当のことは知らない。昨日、墓から帰るとき、花火と夜店がこの町に帰って来る!というちらしが近所のあちこちに貼られているのを見かけた。その時はへえ、と思っただけだったし、今日は天気が悪かったのでどうせ中止だな、などとぼんやり考えていたら音が聞こえ始めた。廊下に出てみると花火が上がっていた。隣の奥さんも出てきて空を見ていた。反対側の二つ隣の主が、「こっちの方がよく見えるよ」と言った。誘われるまま、隣の奥さんと僕はそちらに行き、用意してもらった丸椅子に座って花火を見物した。それだけの話なのだが、花火を見ている間、上に書いたようなことを僕は考えていたわけで、やはりこれは記すに足る、と判断してここに記録することにした。

by nogioh | 2014-08-16 23:35


<< JOURNAL      JOURNAL >>