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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2018年 11月 16日

JOURNAL

ボブ・ディランもスプリングスティーンも嫌いという人は何人も知っているが、僕はどちらも好きです。ついでに言うと、上記二人よりもっと否定的な人が何故か(何となくは分かるのですが)周りに多いジャクソン・ブラウンも僕は愛聴している。
アルバム「ハイ・ホープス」の初回限定盤にはDVDが付いている。イギリスでのライブなのだが、そこでスプリングスティーンは、84年の「ボーン・イン・ザ・USA」を全曲順番通りに、基本的なアレンジもきっちり再現して(もちろんくすぐりは一杯付け足され、ニルスやスティーブのアドリブも沢山入る)見せている。このライブの中では僕は「ダウンバウンド・トレイン」が最も心に染みた。No Surrender~Bobby Jeanの流れは当然心躍るのだが、若い時から僕は「ネブラスカ」が好きで、その世界を、ちょっとサウンドをゴージャスなバンドの音にして発展させたような「ダウン…」の暗い独白調の歌詞に激しく惹かれていた。朝までほっつき歩いてバイト代を使い果たし、急に降り出した激しい雨にずぶ濡れになりながら家に帰り着き、髪を拭き、風呂にも入らず着替えだけして泥のように寝る。目覚めるともう夕暮れで、何となく体がだるく、熱が出そうな予感がある。これは若いある日の記憶だが、これに似た日を重ねてその当時僕は暮らしていた。このままではどうしようもないな、と、当然時々考えた。そんな時にスプリングスティーンのこの曲を聴くと、心が、歌の世界を満たす憂愁に搦め取られるような感覚に陥った。そして不思議なことに同時に元気づけられもするのだった。将来どうにもならないとしてもハーモニカは続けよう、とか、気まずくなっていた誰かに今更だけど詫びの手紙を書こう、とか、あるいはもっと端的に、労働しようとか…、そういう思いが、くしゃっとひしゃげてしまった心の凸凹からじわっと滲み出すような心地になるのだった。

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by nogioh | 2018-11-16 23:51


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