ビッグ・ウォルター・ホートンはたくさん聴いて無数にコピーしたハーピストの一人だ。そう言うと何となく意外そうな顔をする人もいるが紛れもない事実だ。取り分け「An offer you cant refuse」は昔から、そして今も彼の最高傑作だと思っている。初めてアナログ盤で聴いた時の衝撃はずっと忘れられないだろう。音が悪いし半音キーがずれていてコピーしようにもハーモニカがなく慌てて買いに走った記憶がある。キーの合うハーモニカを入手しても結局若い僕の手に負えるプレイではなかった。演奏を始めて、最初の激しい無力感を味わったのはこのアルバムによってであった。遥かに時は経ち、阿佐ヶ谷のBハウスでS木保、T-ス〇ム両氏とこのアルバムを聴いて盛り上がったのはつい数年前のこと。この夜のこともずっと忘れないと思う。