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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2019年 04月 18日

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マッサージを受けていて眠り込んでしまう事はよくある。自分のいびきで目が覚める事もまた。その店には、ヒーリング・ミュージックと言うのか、シンセサイザーを中心に作られた静かなインストが低い音量でずっと流れていた。その日も僕は眠り、短い夢を見た。内容は何も覚えていないが、音楽が聴こえていて、猛烈な懐かしさに胸を塞がれるような感覚だけが残った。施術が終わり、僕は揺り起こされ、夢で鳴っていた音楽が、店で流れている音楽かどうか確かめようと耳を澄ませた。知らない曲だった。聴いたことはあるかもしれないが、マッサージ店や整体院、スーパー銭湯で良く流れているような、どれも区別がつかないような音だった。夢で流れていた音楽が何だったか、なかなか思い出せない。きっと、店の音楽の旋律の抑揚とか、リズムとか、とにかく何かがその歌に似ていて、変容して夢に出て来たのだろうと僕は踏んだ。お金を払う時、ふと曲の調が変わった。何かを思い出せそうな予感があったが、結局その日は思い出せなかった。後日、車に乗っていて不意に思い出した。それはボビー・ウーマックの「Thank you」だった。二枚目のアルバム「My Prescription」の最後の曲。ああ、そうだったのかと思い、すっきりはしたが意外だったのは、ボビーのファースト・アルバムの中の曲ではなかったことだった。どちらのアルバムも好きで20代の前半はしょっちゅう聴いていた。しかし、2枚目より圧倒的にファーストの方が聞いた回数は多い。四六時中聴いていた時期がある。家に帰って早速聴いた。「Thank you」の終盤の盛り上がりの部分で、僕は夢ではなく現実の真夜中の自分の家で、凶暴なほどの懐かしさに捉えられた。何か具体的な事柄を思い出す、ということではない。しかし、この歌には、僕の生の中で、もうあまりにも遠く、遥か遠くになりすぎた何か茫漠とした景色、心象が封じ込められていて、後半それが一気に噴出される。それははっきり感じることが出来る。

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by nogioh | 2019-04-18 23:33


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