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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2005年 10月 27日

JOURNAL

ルイ・アルチュセール「マルクスのために」(平凡社)。「言葉」についての悩みが尽きない、つまり心身ともに危機的状況にあった十年ほど前、貪るようにして哲学と宗教についての、いわゆる学術書を読んでいた時期がある。その中に、バブル期とシンクロして日本で大流行したフランスの比較的新しい哲学者たちの書物もあった。流行った当初はちらりと横目で見て通りすぎた、「軽快に絶望する」指南書みたいな本に、すっかり流行が過ぎてからはまった。勿論難しかったが、丹念に読んで行くと八十年代に、まだ小僧だった自分たちがしたり顔で語り合った「世相分析」や「予言」とそっくりな事が時々記されていて、何となく楽しくなり、気持ちが軽くなったものだ。久々に手に取ったアルチュセール。彼は、今書いた、ポストモダンの思想家たちのお手本(?)になった一人だが、今読んでもやっぱり難しかった。マルクスがらみでもう一冊、桐山襲「未葬の時」(講談社文芸文庫)。
左翼の作家といっても、小林多喜二や野間宏とは全然違って、明らかに大江健三郎以降の人とわかるポップさを持っていて、このベスト盤的な一冊など、全体が切ないトーンの緻密なファンタジーとして読める。もう四、五年も前の冬、近場で雪が見たくて一人で兵庫県まで電車で出かけた時、この本を持って行ったのを思い出す。七釜温泉郷の宿に一泊した。箸袋に印刷されていた詩(詞?)。『七釜良いとこ一度はおいで/人情厚けりゃ湯も熱い』確かにちょっと悲鳴が洩れるほど熱い風呂だった。

by nogioh | 2005-10-27 00:00


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