Dan Penn&Sponer Oldham「モメンツ・フロム・ディス・シアター」ダン・ペン自身が歌ってるものの中では「ノーバディーズ・フール」より「ドゥ・ライト・マン」よりも僕はこのアコウスティックなライブ盤を選ぶ。ソングライターとして、スタジオミュージシャンとして、ソウルミュージックの歴史に残る仕事を重ねてきた二人のキャリアの重みを考えると、このライブがニック・ロウのオープニングアクトだった現実は寂しい。しかし、クレジットを見るとニックやボビー・アーウィンがこのCD制作に(おそらくは長年のファンとして)尽力したのが判り、胸が温まる思いもする。ダンとスプーナーがからかい気味に「ニック兄さん、お先です」と声かけ、言われたニックは半ば本気で「勘弁してくださいよ、師匠」と恐縮する、という関西圏ファンの感傷癖込みの妄想も広がる。トムズキャビン招聘のDan&Spooner単独ライブ、僕は大阪で観たが、ネルシャツにオーバーオールの農夫的佇まいと、豊穣なサザンソウルの歴史の凝縮とも言うべき歌世界の抜群の「釣り合い」に心打たれた。