レッスン。ハーモニカとエレキギターの音、パンキッシュなロックを愛する若い人。バンドを組んで、好きなようにハーモニカを吹いて色んな日々の沈殿物みたいなものを発散していれば楽しいのだろうと思う。しかし、ブルースのハーモニカを本格的に学ぼうと志向する初心者であるからには、当方とすれば基礎練習の繰り返しをかなりの期間やらない訳には行かず、可哀相な気分になる。なるべくバラエティに富んだ内容になるよう心がける。休憩では、仏教関係の専門家なので、彼が来た時はいつもだが、あれこれ仏教について僕が教えてもらう。彼の好きな、ハイロウズをちらっと聴かせてもらったが、甲本氏、いわゆるフォークソング的なアプローチのハーモニカとは違い、完全にブルースに接近した逞しいブロウだった。ブルーハ-ツ時代から二十年経て、Dr.Feelgoodみたいな黒めの音に変身していてびっくり。
「ワールド・トレード・センター」を観る。政治色を排して、対象を絞り込むことで、細部のリアリティや、役者の技巧が際立ち、胸に迫る感動があった。本物のブッシュがちらっと(でもとても効果的に)映るが、明らかに悪い戦争を仕掛ける直前の狂気の顔であり、そこだけはむかっ腹が立つ。それはこの映画で唯一のオリバー・ストーン個人の目線であり、ちゃんと僕に伝わったわけだ。