年齢にして僕の半分という、若すぎる生徒氏と、同世代の生徒氏二人レッスン。(年齢だけで人を対比させる悪癖を治せ)とにかく、耳を澄まして、集中して、自分の音をよく聴くことが基本で、原点だ。そして、古のオリジナルの巨人達の、息継ぎ一つ聞き漏らさない熱情。白人のテクニシャン達もそれを死に物狂いでやって、一握りの優秀なトップブルースマンは、今もその苦行を続けているだろう。彼らはいまだに進化している。シカゴにいるワビさんが、彼らのバイタリティを評して、「一回り以上も若い自分たちは弱音など吐いてられない」とかつて僕に語ったが、本当にそう思う。サクラメントで、ショウの幕間に、一度も椅子に座らず、忙しなくガムを噛み続けていたリック・エストリンの、クロマチックの闊達な音色を思い出す。
色川武大のエッセイ集「いずれ我が身も」(中公文庫)。いまだに未読の新刊が出て、全集を揃えたりしない不熱心なファンには嬉しい事である。笑いながら、時に迫力に気圧されたり、一気に脱力したり、いつ読んでも面白くすぐに読み終えてしまう。寂しい事だ。