今日も久し振りの人のレッスン。柔らかい知性に、励まされる人柄で、ハーモニカも繊細ないい音。あるフレーズを吹いてもらったとして、こういう見方もありますよ、と僕なりの見解を幾つか提示し、いいと思ったものを持って帰ってもらうという式の、あるレベル以上の人向けのレッスンの典型みたいな内容。この状態から個性の完成(そんなものが「気がする」だけじゃなくこの世にあるとして)までが、とにかく長い。勿論僕も途上だ。完成したと思ってしまえば永遠に完成はない、といった禅問答みたいな気分もある。
以前、まだ雑誌連載中に人に薦められていくらか読んでいた「20世紀少年」を今単行本で読んでいる。まだ前半だが、ラテンアメリカの作家や、ヴォネガットみたいに時間軸を錯綜させて、且つスピーディーに、凝った緊迫感溢れるストーリーが展開する中、六、七十年代のロックや、ヒッピー的気分に対する、直截過ぎるほどの肯定やノスタルジーが、何ともよく判って緊張を緩和させる。トキワ荘周辺の漫画家たちへの、多少屈折したオマージュも出てきて、浦沢はやはり「最後の手塚マナー」だと改めて感じる。