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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2006年 11月 29日

JOURNAL

ドラマーでもある、若い友人が営むレストランに行こうとしたら定休日だった。事前に判って良かったが、こういうことは多い。出かける予定は変えず鳥料理屋で寛いだ。自家製豆腐というのがびっくりするくらい美味かった。同伴者と競うように貪り食う。喋り捲って疲れるというのは結局喜びであり、普段ない事なのでやはり新鮮な気持ちになるということだろう。楽しい夜だった。夜のテレビで筒井康隆が「失楽園」(勿論。ミルトンではありません。日本の作家の方です)に苦言を吐いていた。今更な感じもするが、文学者の啖呵というのはやはり気持ちの良いものだ。この日記にはあまり登場しないが、SF耽溺時代にはやっぱりアイドルだったし、「残像に口紅を」は僕の読書体験のベスト10に入る。ある友人がこれを読んで「最後のほう、泣きそうになったけど、いいのか」とおかしな質問をしてきたが、気持ちは判るので、されて嬉しい質問だった。アイデア一発ものの顔をして私小説への接近を試みる、その方法意識が前面に出すぎて最初戸惑うのだが、これは実に泣ける小説だと思う。
 伊集院静「母の男言葉」。この連載終わっていたのですね。この作家のエッセイが昔から僕はどうにも好きなのである。旅暮らしで、気ままに呑んだくれる日常に憧れる心理なのか、漂泊の裏面としての哀しみに惹かれるのか、特にうまくいかぬことがあったり、へこたれそうな時に読むと、癒されるのだ。音楽より本が力があるかな、と思うのはこういう読書をする夜である。

by nogioh | 2006-11-29 06:23


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