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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2007年 02月 19日

JOURNAL

法律はもう庶民のものではないと、政治家はほくそえむ。前首相から引き継がれずっと続いている、これほど露骨な横暴にすら無関心な若者は、自分は有為の者であるがゆえに多忙であると信じ、単純な目晦まし操作の餌食となっている事には気付かず、誰にも決して詫びずに方々で大きな音を立て続ける。そして僕の嫌いな春が、予定よりうんと早く近づいている。疲れと屈託はこうして深まって行く。小林信彦「うらなり」(文芸春秋)は、小説の快楽という基本の一点において、今のところ今年一番である。素材(この場合漱石の「坊ちゃん」)の解析、新視点の確立、そして文体を含むディティ-ルへの拘りが傑作を生むのだが、この作品はそこがとても明快に見晴らせて、その事自体が言い知れぬ安心へと読む者を誘うのである。物語だけではなくて、小説を創る方法そのものによる感動。本編と変わらぬくらい長い「創作ノート」と合わせて一つの作品として読まるるべきだろう。
 夜更けてからの車の中でのレッスン。特殊なパターンです。かなり眠くて疲れたが、静かなので何をどう伝えるべきかが常よりもクリアになる気がしてなかなかいいものだった。 

by nogioh | 2007-02-19 03:27


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