浮かない気分で朝を迎えたが、良い日だった。寄席に出かけて、カロリー低目の美味い飯を食い、酒を少しだけ飲んだ。企画、というほどのものでもないが、相棒には好評のコースだった。「不動坊」演じた桂宗助氏が達者だったということだろうが、このネタは風呂に入りたくなる。P・オースター「幽霊たち」。書くこと、の根源的な不条理を追求して、どうしようもなく一人ぼっちな人間の、原存在のイメージ、空虚で、地に足がつかない心もとなさを読者の脳裏に焼き付ける試み。面白かった。ポストモダンだなあ。バブルの空気を(恩恵を蒙りもしなかったし、損もしなかったが)青春期に知っている世代には、こういう小説は特殊な染み入りかたをするのではないだろうか。