混んでいる店の待合ソファにも、無造作に積んである本もCDにも、直射日光の煩わしさにも、ピザを遅配する若者のバイクの音にも、映画にも、うたたねにも、いつにない愛着が湧く。休日だからだ。何にも(というわけにはいかなくても)考えなくていいのは素晴らしい。ジョージー・フェイムの1stは白人によるR&Bの最高傑作の一つだ。この黒く躍動するアレンジとヴォーカルの魔法は、唯一無二。近い才能としては、ずっと後に登場するハウリン・ウィルフ(ウルフではない、後のジェイムス・ハンターだ)が挙げられるかもしれない。どっちもイギリス産だ。ヴィンテージなシカゴブルースの再現にかけては近年特に成果の目覚しいアメリカも、この手のサウンドを生み出す土壌はないのかも知れない、と感じてしまう。