昼も夜も、涼しかった。夏が終わったか、鬱屈してさまようばかりの僕を、天が奇跡でもって慰撫してくれようとしているのか!?夜、長く会っていない僕を心配して電話を下さった親戚と話す。嬉しい時間だった。レイ・ブラッドベリの本が押入れから転げ出てきたので読み返す。「恐竜のほかに、大きくなったら何になりたい?」は、多分日本語訳文で五十枚くらいの短編で、禁酒法時代のシカゴ近郊が舞台。名編「たんぽぽのお酒」の世界だ。僕もかなり熱烈に恐竜になりたかった口で、主人公の少年が祖父に連れられて博物館に行くくだりは、親父と行ったエキスポの大恐竜展を思い出して、作品世界、訳者の伊藤典夫の文体共々、何重にも懐かしかった。