ヘミングウェイ「エデンの園」を読みながら(面白いですよ)、原書に触れずにどれだけ外国の作家を 理解できるものかと考えていた。大格闘して幾つかの詩人やフォークナーの原書を読んだことがあって、やはり発見することも多いからだ。フォークナーは高名な訳者の手になる「名訳」ですらなんであんなに読みにくいのかが、英語で読んで(読めたかどうかは?)多少判った。元がうんざりするほどくどくて読みにくいのだ。ただ、はまるくどさで、常識になっているが最初期の大江健三郎や中上健次のじわじわ効いてくる極太の注射みたいな毒気はそのままフォークナーのデティールに拘泥し抜いた毒気の置換とも言える。これは原書にアタックしてこそストンと腑に落ちる類の感覚だろうとおもう。