午後レッスン。実に熱心な人。僕の偏執的な指摘を嫌がらずにいてくれるだけでもありがたく、ますます細々と注文をつけてしまう。話していてもなかなか面白い人です。
トム・ウェイツの古い映像がDVD化されていたようで、友人から回ってきた。喜んでかけっぱなしにして過ごす。「きよしこの夜」と「ミネアポリスの女からのクリスマスカード」のメドレーは、いわゆる「ベタ」ながら痺れる。ステージでは、よれよれのスーツが格好良い、とこの人の曲を聴くといつも思う。映像で迫られると尚更だ。だが、リック・エストリンの映像を観たら今度は、ぴしっとカフスもつけて皺一つないイタリア物を着るべきだと思ってしまう。我ながらあほらしい。ビートルズの熱がちょっと引いて、ブルースとR&Bに入りこむまでの期間、ザ・バンド、ヴァン・モリスン、ニック・ロウと並んで最もよく聴いていたのはトム・ウェイツだった。いつかも書いた気がするが、聴くと当時まだ暗がりだった寺町を徘徊したくなったものだ。ライブ映像を観ていたら、同じアル中系のアイルランドのパンクロッカー、シェーン・マクゴーワンを思い出した。シェーンが在籍した頃のポーグスも大好きだった。十何年も前、来日公演を観に行ったら、ツアー直前か、ツアー中だったか忘れたが、シェーンはバンドをクビになっていた。その夜代わりに歌ったのは、クラッシュのジョー・ストラマーだった。みんな喜んでいたが、僕はシェーンが観たかった。ライブのヴィデオを観ると、パフォーマンスの部分を割り引いてもどうしようもないやつに思えるが、僕にはミック・ジャガーよりも親しみやすい不良の代表みたいな歌手だった。