JOURNAL

夜、O君がアンプを持ってきてくれる。日曜のライブ用だ。O君も年内はもうなさそうで、次が今年の使い納めらしい。経年変化で少し音が古臭くなってきた。もう一つ、やや大型のアンプを共同購入（年三百くらいライブがあるなら別だが、そうでないなら独占することに意味はないし、何かとお得なのである）する計画で、O君の興奮がとまらない。寝不足で僕はぐったりしていたのだが、異様な眼光で喋り続けるO君の熱気に横たわってもいられない気分になった。近頃ファビュラスサンダーバーズの2nｄアルバムをCDで買い直した。O君に聞かせようと鳴らしていたら、二十年前のコピーばっかりして夜明かししていた日々が甦り、試しに早いインストを吹いてみたら見事に忘れていてムキになる。コピーしたフレーズを忘れて、別な曲のフレーズがそれに取って代わったりして、そうやって自分のフレーズが出来てゆくのである。にしても必死で練習したものが記憶から剥落する感覚は悔しい。帰り際、O君は膝がおかしくなって立てなくなった。発条が切れたロボットみたいにガクッとうなだれたまま動かないO君を見て僕は、加齢の寂しさを実感していた。僕は去年マラソンし始めて三日目で膝を壊し、同じように走り出した別な同級生は一週間で肉離れを起こした。涙が出そうな連鎖ではないか。