大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2008年 03月 29日

JOURNAL

ウェッティと加藤さんのライブが伏見であったが行けなかった。行けない事情があったが、行けば色々面白かっただろう。
芸術の評価というものには人それぞれに基準がある。という話を今さらしてみたい。
リトル・ウォルターをお洒落と捉える向きがあるらしいと、最近知ってびっくりしたのだが、彼は革新者で天才だが、生ハーモニカ時代から後期のR&B路線に至るまで一貫してダウンホームな吹き手だ。そのダウンホームぶりは、フレーズなどのディテールは全然違うが同時代者では唯一テクニック的に拮抗するライス・ミラーと互角である。今言ったように僕は技術面においてはこの二人、そこにサニーボーイⅠ、ノア・ルイスや戦前派(?)の幾人かのプレイヤーを加えてブルースハーモニカの極みだと思っていて、それ以外の(CDで聴ける。つまり音源を残している)沢山のミュージシャンについては技術レベルは彼らとはっきり差があると感じている。クロマチックを吹くジョージ・スミスや、ウォルター・ホートン、ジェームス・コットンも無論凄いプレイヤーだし、ジミー・リード、そこから南部に飛んだ種子が実ったスリム・ハ-ポや、レイジー・レスター、ウィスパリング・スミス、ぐっとリトル・ウォルター的なジェリー・マッケンやアーサー・ウィリアムス、やや若いジョニー・ダイアーからも僕は多くのハーモニカ演奏の技術を学んだ。サミー・マイアーズもスヌーキー・プライアーも一時期確実にはまり、手に入る曲は全部コピーした(もうだいぶ忘れた)。でも「一番うまい」のは初めに挙げた二人プラス数人の戦前の人です。こういう評価はきっと一人一人違う気がする。実際、まだまだ他にも挙げられる好きな吹き手も含め、今挙げた全ての人はみんな巧いのです。レイジー・レスターとリトル・ウォルターの巧さは位相が違う、という声もあるが僕の中では一緒だ。「魂」などという目に見えないものを引き合いにだすより、それを内包する技術、と捉えたほうが明快だからだ。録音を一番最初に良いなあ、と感動して聴いた時に僕はいわゆる彼らの「ブルース」なるものだけを無自覚に抽出して感じたのかも、と思う。しかしいったん楽器を持って、今こうしてプロでやっている(ただし儲からない。これしか収入がなかった時期もかなりあるが、ほんとに怖かった。よく飯が食えていたと思う)僕はただ彼らから技術を学んでいる。または技術抜きには絶対感じられないブルースなるものに影響されている。WABIさんが僕に(メールだったか)語った言葉「自分が見て聴いたこと」が伝わるようにしか吹かない、という技術。コテツ氏がメールに書いていた言葉「匂い」がクラブに充満するように吹く、それが出来ない時は吹かない。仕事を請けてそれをしくじったら辞めるという気持ちでやるために必要な技術だ。ウェッティが言う「職人」も加藤さんの「日本人は毎日吹くだけですわ」もみんな同じ事を言っている(気がしますが、違いますか)。こういう持論にはいつも多くの反発と、まあまあな数の励ましが返ってくるのだが、どこの熱心な信奉者が涙ながらに何を言ってこようと僕の考えは変わらない。それがプロということだ。僕の考えは正解だ。しかし正解は一つではない。
まあ、ウェッティも加藤さんも、こういうことをいつも色々と感じさせてくれる二人で、彼らが一緒にやるというのは面白いライブだったろうと思う。行けずにすみません。
恵みのように寒い日が続いている。息が白いと、それだけで僕は何ものかに感謝したい気持ちになる。
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by nogioh | 2008-03-29 23:16 | Comments(4)
Commented by 憂絵亭 情 at 2008-04-01 22:43 x
仰有る事の意、ほんとに全てめちゃくちゃ分かります、解ります。
僕の言うプロ意識、プロとは、職人とは、
リトル・ウォルター、ライス・ミラー云々の事も。
ホートンが一番好きでホートンが一番だと思う僕ですが、しかしその両者が、ホートンを差し置いて一番難しい。
リトル・ウォルターがダウンホーム云々もほんと分かります。
技術とは何か、味とか魂とは、の精神論との違いと関連性も同じく。
謂わんとする事、めちゃくちゃ分かります。
ここでは書ききれないのでまた今度。
追伸
フリーダム・ライターズ、良い映画ですね。
僕もスワンク、相当好きです。
ボーイズ・ドント・クライ、傑作ですね。
ではでは
Commented by noginogi at 2008-04-02 02:01 x
ありがたいコメントです。加藤さんもこの記述についてメールくれはりました。またあれこれ話しましょうね。
Commented by おおにち at 2008-04-02 13:03 x
難しい(T_T)
プロ意識!これもまだまだ未熟。
世界のナベアツ状態に陥ります・・・。
しかし、この人達は何を思って吹いていたのでしょうか?
また、どういう理解をして吹いていたのでしょうか?
やはり、プロとしての金稼ぎの一環だったのか?
何となくではあるが、なぁんにも考えずに吹いていた・・・!?
可能性はなきにしもあらずだが、以前のblues$soulのインタビューでは、非常に考えているようなことを言っていた。
むずかしぃ~
Commented by noginogi at 2008-04-02 13:30 x
やはり、当然生活手段だったでしょうが、そもそもなぜ、という部分は
彼らの背負った文化も歴史も必ず関係してきます。ここでブルース論をやる気はありませんが、白人や我々とは全く違ったきっかけ、理解するふりなどしてはいけない川のような隔たりはあったはずです。ちなみにオオニチさん、&が$になってます。(^ ^;)


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