昼間雨音だけで疲れ果てる。傘のさし方も僕は下手なので今日程度の降りでも存分に濡れる。ズボンの裾は重たくなり、せめて上半身は守りたいと、緊張して傘の向きを調整し続け、やがて腕も痺れて来て結局鞄もシャツも濡れる。降りそうだと思ったら一歩も家を出ないのがよろしい。
夜レッスンに来た人(サードポジションやりました)が、雑誌(ムック)を貸してくれた。来日ブルースマンの記録集だが(そんな本、全然知らなかった)、そこに映る観客の中に二十年前の自分がいて、気を失いそうになった。健康しかとりえのないような時代なのに、その健康を壊すようなことしかしないで、ろくに寝もせずハーモニカばかり吹いていた。僕の両脇には友人がいて、僕ともども彼らの昔日の姿も、歳月の重みとむごたらしさを思い知らせる。その写真の後、僕は会場整備のガードマンともめるのである。そして激昂したその男の巨体に弾き飛ばされて尻餅をつくのだ。懐かしい。