なかなかコンスタントにレッスンが入らず、固まってどーんと来て、今週のように暇でしょうがない週もある。割り振り管理が下手なのだろうが、個人レッスンの宿命のような気がしないでもない。学校ではないですからね。
で、本を読んだり映画を見たり、音楽も聴いたりするのだが、そうなると時間が足りない。体力も尽きて失神するように寝てクーラーの冷気で膝が痛み、ついでにこむら返りまで起こって飛び起きたら朝、という不健康な成り行きに陥りがちだ。「母さん、教えてくれ」「志願」で、小川国夫「止島」読了。旧約聖書の風土を静岡に置き換えるという、神話の解体作業を最後まで続けた作家だった。フォークナーとヘミングウェイと志賀直哉をずっと影として宿しつつ、完全に独自な文体と空気を獲得した稀有な文章家だ。谷川俊太郎がなぜノーベル賞を獲らないのか、と嘆く友人がいたが、一つには詩の翻訳という問題がある。なぜ谷川が登場したか、というと、例えばこの小川国夫、もしくは古井由吉、遡って埴谷雄高や島尾敏雄、こうした特異極まりない文体を持つ作家は、果たして翻訳できるのか?といつも思うことをまた思ったからだ。
東京の
ハギー氏より、ジェームス・ハンターの新譜が届く。ブルース系の白人ミュージシャンの中では年も近く、デビュー当時からリアルタイムで追いかけている人で、前にも記したが、ハギー氏と友達になったのもこのミュージシャンがきっかけだった。書きたいことは一杯あり、新譜も素晴らしい。とにかく今の出世を喜びたい。グラミー獲れればいいなあ。