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大野木一彦のJOURNAL・ブルースハープ・ライブ・レッスン情報

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2005年 10月 16日

JOURNAL

三時に磔磔に入る。音のバランスに若干手惑ったが、なんとかリハーサルも終了。夕飯を食べた定食屋で、店のおばさんがヘンリーさんを見て「格好良いねえ、指揮者みたい」と言う。ライブの詳しいレポートはうちのドラマー北川洋一氏のサイトや、東京からかけつけてくれたWINGSFANさんのブログでもやるようなので割愛するが、セットリストの変更、やったことのない曲の突発的混入など多少のハプニングもあって、スリリングだった。予定外のものの一つ、「朝日のあたる家」のヘンリーさんアレンジによるヴァージョンは強く胸に響く素晴らしさで、必死についていったが、もっとも記憶に残る一曲となった。僕自身の演奏については、まあ頑張ったので許してほしいが、首を傾げざるを得ない場面がいくつかあった。本人がそうなのだから観客も当然同じ違和感を抱いただろう。うちのドラマーも書いていたが、終了後ヘンリーさんにハグされながら耳元で聞いた「Good job!」は最高の労いだった。「また一緒に仕事がしたい。ショーバンドだ」これ以上の名誉はないなあ。CDを大声で売りまくる萩原氏を見ながらヘンリーさんは「彼はすごいビジネスマンだ」と言って笑っていた。ヘンリーさんは足を挫いたらしい。しきりに痛がっていた。家に帰っても興奮さめず、一睡もできなかった。

# by nogioh | 2005-10-16 00:00
2005年 10月 15日

JOURNAL

朝十時半に、五条大橋のたもとに集合。僕と彼女と、ヘンリーさんら一行、総勢5人で夕方までの時間、京都観光。あいにくの雨だったが、清水寺、南禅寺、哲学の径などを歩き回った。彼女も萩原氏も、ヘンリー&ジョシーも始終写真を撮っていて、手持ち無沙汰になりがちな僕は雨に煙る古都観光を本気で楽しんでいた。住んでいると普段なかなか観光などしない。ヘンリーさん達二人は、ヘンリーさんの故郷北アイルランドでの田舎暮らしを本当に楽しんでいるようだ。飼っている鶏(四十羽!)や孔雀の話をする時は目が輝く。日本製の甘味が好きな様子で、心太や、カキ氷を楽しんでいた。何度目かのお茶屋での休憩の時、ジョシーさんが「昨夜のあのメンバーでバンドをやってどれくらい?」と聞いてきた。「十一年」と答えると、二人は驚いていた。この数字には僕も驚く。年をとる勢いって凄い、と怖くなる。ヘンリーさんはウッドストックやロン・ウッドの話をしてくれた。ロックンロールビジネスの最深部の、放埓でひりひりするような危険な生活。ヘンリーさんもジョシーさんも、今ではすっかり健康志向になったという。多彩なセッションワークからもやや距離を置いて、故郷での現在の暮らしを始めるきっかけにもなったという、手の指の怪我の跡をヘンリーさんは見せてくれた。シーンの中心を去ったといっても今も自身のアルバムは出しているし、ギグもたくさんこなしていてばりばりの現役。その凄みを数時間後に僕は思い知ることになる。「アイルランドも雨が多いが、こんなに激しくは降らない」と苦笑するヘンリーさん。ジョシ-さんは、陶器や紙細工などに興味津々で土産物屋一件一件立ち止まりつぶさに物色。「あの人も、陶芸的なものやるからね」と萩原氏が教えてくれた。一旦散会して、約一時間後、メンバー揃って三条のRAGへ。ヘンリーさんは着替えて、帽子も被り、本番さながらのいでたちだ。マーシャルで彼が音を出した瞬間、一気に空気が張り詰めた。第一線に身を置いての四十年を越える時間の重みがネックを握る左手に凝縮されていると感じた。バンドの音量が小さいと判ると、音を下げ、即座にきちんとバランスを作り上げる敏捷さも頼もしい限り。改めて緊張感が増した。みっちりと音合わせをする。

# by nogioh | 2005-10-15 00:00
2005年 10月 14日

JOURNAL

夕方、五条堀川の東急ホテルにヘンリーさん一行を迎えに行く。駐車場から萩原氏に電話をかけて待つこと五分。年甲斐もないものすごい緊張のしかたで、この感じ、いつ以来かしらと思う。萩原氏を助手席に座らせ、自分たちは後ろに乗り込むヘンリーさんと相棒のジョシーさん。「狭い車で、どうも」と恐縮すると、「全然。イタリア製のもっと小さいのに乗ることもある」とヘンリーさん。僕はマディー・ウォーターズの、自分で編集した初期ベストみたいなテープをかけていた。萩原氏が「マディーですよ。こんな音楽、嫌いでしょ?」と冗談を言うと、「もちろん、昔からずっと嫌いだ」と笑うヘンリーさん。後ろで、テープに合わせてヘンリーさんが歌い出すと、みるみる緊張はとけていった。伏見の、バンドでお世話になっているイタリアンレストラン「TEN HOLES KITCHEN」でメンバーによるヘンリーさんとジョシーさんの歓迎会。二人とも酒も煙草もやらないので、喫煙する僕らは気を遣う。離れた場所で吸おうと席を立ちかけたベーシストのZeeさんを制して「気にするな、もっと近くに来なよ」と笑うヘンリーさん。萩原氏を介して、ヘンリーさんが今回のライブでやりたい曲のリストを僕らは受け取っており、それをもとにリハもしてきた。その曲名を並べたメモ書きを僕はヘンリーさんに手渡し、「明日のスタジオ入りまでに、曲順を考えておいてください」とお願いする。「どれくらい演奏時間はあるの?」「二時間。そこに書いた曲は全部出来ますよ」仕事らしき会話はその程度で終わった。後は我々のいいかげんな英語と、ヘンリーさんのアイルランド訛りの英語、ジョシーさんのフランス訛りの英語が入り混じった、ところどころちぐはぐだが極めて和やかな談笑のうちに時は過ぎた。酒が入って上機嫌なZeeさんが、ほとんど日本語でまくし立てると、ヘンリーさんが爆笑しながら英語で早口に返す。その奇妙な相互理解の図は本当に可笑しかった。

# by nogioh | 2005-10-14 00:00